立川の弁護士「竹村淳」が専門的観点から執筆 法律コラム

性同一性障害による性別変更×民法・その2

コラム2016-01-31

性同一性障害を理由に男性に性別変更をしたA(生物学的には女性)が妻Bと結婚。結婚後、妻Bは、夫Aの同意のもと、夫A以外の男性Cの精子を用いた人工授精によって、子どもDを出生。区役所に出生届を出したところ、「父」の欄が空欄とされたので、AとBは「父」の欄を「A」と訂正することを求めて提訴(以上、前回の話)。

この問題について、高等裁判所は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」という民法772条1項は、このような推定をすることで、家庭の平和を維持し、夫婦関係の秘事を公にすることを防ぐとともに、父子関係の早期安定を図ったものであるから、夫と子の間の血縁関係が存在しないことが明らかな場合には適用されないとして、AとBの請求を認めませんでした。

しかし、最高裁は、法的手続きにのっとって性別変更した者は、法令の適用について男性とみなされるのであるから772条1項の適用があるとし、A及びBの請求を認めました(最高裁・平成25年12月10日決定・民集67巻9号1847頁)。

最高裁は、性別変更した者が妻との間で子をもうけることは想定できないということについては、そのような者に婚姻することを認めながら、婚姻の主要な効果である772条の適用を認めないことは適切ではないとしています。

簡単に言ってしまえば、性同一性障害の人も法的に結婚できるってした以上は、結婚により認められる法律の効果は認めてあげないとおかしいよね??という理屈です。

なお、この最高裁の結論については、最高裁の中でも意見がわかれ、2人の裁判官が反対意見を述べています。

このように、本件は、最高裁と高裁で判断がわかれ、最高裁でも判断がわかれる(しかも、3対2)という稀にみる事件となりました。

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