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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

家庭裁判所の調停は必ず出席しないといけないのか(電話会議)

家庭裁判所の調停は必ず出席しないといけないのか(電話会議)

東京在住のXさんは、相手方であるYさんが北海道稚内市に在住しているため、遺産分割調停を旭川家庭裁判所稚内支部に申し立てることになりました(前回のコラム参照)。

では、Xさん(あるいは依頼した竹村弁護士)は、調停期日に、毎回、稚内市に行かなければならないのでしょうか。

平成25年に家事事件手続法が施行される前は、稚内市に行かなければなりませんでした(当時は膨大な交通費がかかったと思います)。

しかし、同法施行以後は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法、いわゆる電話会議システムまたはテレビ会議システムによって、調停の期日における手続きをできるようになりました(同法258条1項、54条1項)。

電話会議システムの利用には当事者の意見を聴く必要がありますが、同意までは必要とされていません。したがって、相手方が反対したとしても、裁判所が相当と判断すれば、電話会議システムを利用することができます。

そして、家事調停における電話会議システムは、一方が出頭した場合にのみ電話会議システムが利用できる民事訴訟とは異なり(民訴法170条3項)、当事者双方が出頭しなくても利用することができます。

電話会議システムによって調停を成立させることまでできるので、制度上は、一度も裁判所に行かずに、調停を成立させることができることになります。ただし、離婚または離縁の場合は、調停成立時以外は電話会議システムで進行できますが、調停成立時は出頭が必要です(同法268条3項)。

では、どの程度の距離が離れていれば、「遠隔後に居住している」として電話会議システムを利用できるのでしょうか。

東京の立川市に事務所を構える私(弁護士竹村淳)の過去の経験では、最も近いところでは、北関東の某県の裁判所でも利用できたことがありますが、逆に東京⇔関西でも認められなったケースがあると聞いており、裁判所によって、かなり取扱いに差があるようです。基準の明確化が期待されるところです。

弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成29年12月9日現在の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2017年12月9日 by takemura_jun