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秘密保持義務違反と違約金

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

【秘密保持義務違反と違約金】

従業員に対し雇用契約あるいは就業規則により秘密保持義務を課している会社は多いのではないかと思います。

しかし、秘密保持義務違反があった場合であっても、当該従業員に対し損害賠償請求をするためには、秘密保持義務違反の事実のほか、それによって会社にいかなる損害が生じたのかを主張立証することが必要です。

そして、これらの主張立証に成功するには、かなりの困難が伴います。

そこで、例えば「秘密保持義務違反があった場合は1000万円を支払わなければならない」というような違約金の条項を設けることにより、損害の主張立証の問題をクリアすることが考えられるところですが、このような条項を定めることはできるのでしょうか。

結論としては「できません」。

労基法16条に「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」との条文があり、秘密保持義務は労働契約の一部ですから、これに違反したときに違約金を定めることは、同条に違反することになるからです。

秘密保持義務違反を懲戒事由としたり、退職金の減額事由にするなど、労基法に違反しない形で、制裁をもって秘密保持義務を守らせる方法は考えられるところではありますが、それも必ずしも実効性があるものではありません。

したがって、そもそも秘密を漏洩しにくい仕組みを作ること、そして、信頼できる従業員のみに秘密を取り扱わせることが重要となります。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun