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民法(相続法)改正中間試案

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

民法の相続法部分の改正を検討していた法務省・法制審議会(相続関係)部会は、平成28年6月21日に、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」をとりまとめました。その概要は以下のとおりです。

1.配偶者の居住権を保護するための方策

⑴ 配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合は、遺産分割により当該建物の帰属が確定するまでの間、引き続きその建物を無償で使用することができるものとする(「短期居住権」)。

⑵ 配偶者が相続開始の時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間、配偶者にその建物の使用を認めることを内容とする法定の権利を新設する(「長期居住権」)。

2.遺産分割の規定の見直し

⑴ 配偶者の相続分を見直す。
甲案 被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やす。
乙-1案 婚姻成立後一定期間が経過した場合に、その夫婦の合意により、配偶者の法定相続分を引き上げることを認める。
乙-2案 婚姻成立後一定期間の経過により当然に配偶者の法定相続分が引き上げられる。

⑵ 可分債権の遺産分割における取扱い
可分債権を遺産分割の対象に含める。

⑶ 一部分割の要件及び残余の遺産分割における規律の明確化
家庭裁判所は、一定の要件を満たしたときは、遺産の一部についてのみ分割の審判をすることができるものとする。

3.遺言制度に関する見直し

⑴ 自筆証書遺言の方式緩和
財産の特定に関する事項については、自書でなくてもよいものとする。また、加除訂正の方式につき、変更箇所に「署名及び押印」が必要とされている点を改めて、署名のみで足りるものとする。

⑵ 自筆証書遺言の保管制度の創設
自筆証書遺言を作成した者が一定の公的機関に遺言書の原本の保管を委ねることができる制度を創設する。

4.遺言執行者の権限の明確化

⑴ 遺言執行者の一般的な権限等
遺言執行者は,遺言の内容を実現することを職務とし、遺言の執行の妨害の排除その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有するものとする。また、遺言執行者は相続人の代理人とみなすとする民法1015条を削除し、遺言執行者の行為の効果は相続人に帰属するものとする。

⑵ 特定遺贈がされた場合における権限の内容
特定遺贈がされた場合、遺言執行者があるときは、遺言執行者が遺贈の履行をする権限を有するものとする。

⑶ 遺産分割方法の指定がある場合の権限の内容
遺言者が遺産分割方法の指定により遺産に属する特定の財産を特定の相続人に取得させる旨の遺言をした場合において、遺言執行者があるときは、遺言執行者は。その相続人が対抗要件を備えるために必要な行為をする権限を有するものとする。

5.遺留分制度の見直し

遺留分減殺請求によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法を改め、遺留分減殺請求によって、原則に金銭債権が発生するものとしつつ、受遺者または受贈者が遺贈または贈与の目的財産による返還を求めることができる制度を設ける。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun