通貨払いの原則とは(労基法24条1項)
労基法24条1項は「賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定し、賃金を「通貨」で支払わなければならないことを規定しています。これを「通貨払いの原則」といいます。
ここでいう「通貨」とは、日本で強制通用力を持つ貨幣及び日本銀行が発行する銀行券をいい(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律2条3項)、外国通貨は含まれません。また、小切手も、裁判例では、「通貨」に該当しないとされています(東京地裁昭和39年4月28日判決)
では、定期券等の現物支給は、労基法24条1項違反になってしまうのでしょうか。
これについては、同項の但書があり、労働協約に別段の定めがある場合については、通貨以外のもので支払うことができるとされており、したがって、労働協約を締結すれば、定期券等の現物支給が可能となります。
給与の従業員口座への振込も、労基法24条1項との関係で問題となるのですが、これについては、次回のコラムで書きます。
弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は、平成29年12月14日時点の法律に基づき、執筆しています。
Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun