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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

借地借家法の適用のある借地契約とは(建物所有目的の意義)

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

借地借家法の適用のある借地契約とは(建物所有目的の意義)

 

借地借家法の借地権に関する規定は、「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権」に適用があります。

したがって、平面駐車場として利用するために賃貸借契約を締結したという場合は、借地借家法の適用はありません。

では、建物の所有を目的とするとは、どのような場合をいうのでしょうか。

これについて、判例は「建物の所有を目的とする」とは、「借地人の借地使用の主たる目的がその地上に建物を築造し、これを所有することにある場合を指し、借地人がその地上に建物を築造し、所有しようとする場合であつても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、右に該当しない」との立場をとっています(最高裁昭和42年12月5日判決)。

もっとも、具体的な事案において、その判断が難しい場合が多いのも事実です。

判例としては、幼稚園の運動場として使用され、幼稚園経営の観点からすれば隣接の園舎敷地と不可分一体の関係にある土地であるとしても、当事者間で幼稚園の運動場としてのみ使用する旨の合意が存在し、現実にも、当該土地を幼稚園の運動場以外の目的に使用したことはないことから、建物所有の目的を否定したものがあります(最高裁平成7年6月29日判決)。

この判例によれば、当事者間の契約内容がどのようになっているか、また、実際の利用形態がどのようになっているかが重要な判断要素となると思われますが、借地借家法の適用の有無によって大きく法律関係が変わり、特に賃貸人にとっては予想外の大きな不利益を被る可能性がありますので、微妙な借地契約を締結する際は、安易な自己判断をせず、弁護士に相談することをおすすめします。

立川弁護士 竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年9月25日時点の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun