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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

借地契約が終了したときの借地上の建物の取扱い(建物買取請求権)

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

借地契約が終了したときの借地上の建物の取扱い(建物買取請求権)

 

民法の原則によると、借地契約が終了したときに、借地上に借地人所有の建物が存在する場合、その建物は土地の使用収益を妨げるものなので、借地人はその建物を収去したうえで、土地を明け渡さなければなりません。

しかし、

そこで、借地借家法は、借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地人は、地主に対し、借地人が借地上に所有する建物を時価で買い取ることを請求することができるとの規定を設けました(同法13条1項)。

借地人がこの権利を行使した場合、当該建物について、買取請求の時を基準として算定される時価で売買契約が成立したものとして取り扱われることになります

これがどういう効果を持つかというと、建物の所有権が地主に移転することになるため、借地人は建物を収去する必要がなくなります。そして、借地人は、建物の代金を支払うまでは建物の引渡しを拒絶することができ(同時履行の抗弁権)、建物を留置することができます(留置権)。なお、留置権については、建物のみならず、その敷地についても、留置することができると考えられています。

この建物買取請求権は、第三者が借地上の建物を取得した場合に、地主が借地権の譲渡または転貸を承諾しないときも、当該第三者から地主に対して行使することができます(同法14条)。

以上の建物買取請求権については、特約で排除することはできません(同法16条)。

では、借地契約が借地人の債務不履行で解除された場合でも、借地人は建物買取請求権を行使できるのでしょうか。

これについて、最高裁は、建物買取請求権は、誠実な借地人保護のための規定であるとして、建物買取請求権を行使できないとの立場をとっています(最高裁昭和35年2月9日判決)。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年11月20日時点の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun