立川の弁護士「竹村淳」が専門的観点から執筆 法律コラム

専門業務型裁量労働制ってなに?

コラム2018-04-23

専門業務型裁量労働制ってなに?

1.定義

専門業務型裁量労働制とは「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度」(厚生労働省ホームページ)をいいます。

2.効果

この制度の適用を受けると、労使協定で定めた対象業務に従事する労働者の労働時間とみなされる時間だけ労働したこととみなされることになり、時間外手当の計算において、実労働時間がどのような時間であったのかは問題とならないことになります(ただし、労働時間とみなされる時間が法定労働時間を超えていれば、その超過時間分は時間外労働をしたものとみなされ、割増賃金の支払いが必要となります)。

具体的にいえば、労働時間とみなされる時間が8時間とされた場合、実労働時間が10時間でも割増賃金の支払いは不要となります(逆に、実労働時間が5時間でも何も問題は発生しません)。

もっとも、専門業務型裁量労働制は、休日・深夜労働に対する規制を免除するものではないので、休日・深夜労働をさせた場合は、実労働時間に応じた深夜・休日割増賃金を支払う必要があります。

3.適用要件

専門業務型裁量労働制の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

① 対象となる業務が厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務であること。

具体的には、次の業務です。

⑴ 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
⑵ 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
⑶ 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
⑷ 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
⑸ 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
⑹ 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
⑺ 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
⑻ 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
⑼ ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
⑽ 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
⑾ 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
⑿ 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
⒀ 公認会計士の業務
⒁ 弁護士の業務
⒂ 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
⒃ 不動産鑑定士の業務
⒄ 弁理士の業務
⒅ 税理士の業務
⒆ 中小企業診断士の業務

② 労基法38条の3第1項各号に掲げる事項について、当該事業場において、労使協定を締結すること

⑴ 対象業務のうち、労働者に就かせることとする業務
⑵ 労働時間とみなされる時間
⑶ 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
⑷ 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定に基づき使用者が講ずること
⑸ 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
⑹ 協定の有効期間
⑺ 次の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること
 ア ⑷に規定する労働者の労働時間の状況並びに当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置として講じた措置
 イ ⑸に規定する労働者からの苦情の処理に関する措置として講じた措置

なお、⑵労働時間とみなされる時間について、行政解釈は1日当たりの時間数で定める必要があるとし、⑹協定の有効期間について、3年以内にすることが望ましいとしています。

ところで、労基法上、使用者は労使協定を労基署長に届けなければならないとされていますが(労基法38条の3第2項、労基法38条の2第3項)、届出は専門業務型裁量労働制の有効要件ではないと考えられています(企画業務型裁量労働制についての労基法38条の4との比較)。

③ 就業規則または労働協約において、専門業務型裁量労働制についての定めがあること

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年4月23日時点の法律に基づき執筆しています。

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