立川の弁護士「竹村淳」が専門的観点から執筆 法律コラム

敷金とは?(改正民法対応)

コラム2018-12-08

1.敷金の定義

 「敷金」ということば自体は、一般的に広く認知されていますが、これまでの民法では「敷金」を定義する規定が存在しませんでした。

 しかし、民法改正により、敷金とは「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃借権に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」という定義規定が設けられることになりました(改正民法622条の2)。

 この定義によると、「保証金」という名目であったとしても、「賃料債務その他の賃借権に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」であれば、法的には「敷金」として扱われますし、逆に、「敷金」という名目であったとしても、「賃料債務その他の賃借権に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」でないのであれば、法的には「敷金」ではないということになります。

2.敷金返還債務の発生時期

 次に、改正民法622条は、賃貸人は、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき、または、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したときは、賃借人に対し、受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならないと規定します。

 この規定によれば、敷金返還債務は、賃貸物の返還を受けたときに生じるので、賃借人が「敷金の返還を受けなければ、賃貸物を返還しない」と主張することはできないということになります。

 では、賃貸借契約においてしばしばみられる規定ですが、敷金は賃貸物の返還を受けた後、1か月以内に返金するというような敷金返金時期を先送りにする規定は有効なのでしょうか。

 これについては、改正民法622条は任意規定であると考えられることから、返還までの期間が不当に長期というような場合でない限りは、有効であると考えられます。

3.敷金返還債務発生前の敷金の効力

 改正民法622条は、賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭債務の履行をしないときは、敷金をもって、その債務の弁済に充てることができるとしました。

 一方、改正民法622条は、賃借人から賃貸人に対しては、敷金を当該債務の弁済に充てることはできないとしました。

4.まとめ

 以上のように、民法改正によって、敷金の定義や敷金についての基本的な法律関係が明文化されることになったのですが、その内容は、これまでの判例や一般的理解を明文化したものですので、これによって、実務に劇的な変化が生じることはないように思えます。

 しかし、この立法によって、敷金を巡る法律問題が完全に解決されたということはなく、例えば、賃貸人が敷金を賃借人の金銭債務の弁済に充てた場合であって、特約がないときに、賃借人が敷金を補充する義務があるかなど、未解決の問題は残っています。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年12月8日に執筆しています。

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