立川の弁護士「竹村淳」が専門的観点から執筆 法律コラム

建物賃貸借契約は中途解約できるのか?

コラム2019-03-04

1.一般的な建物賃貸借契約

 一般的な建物賃貸借契約書は、居住用建物の場合は1~2か月程度、事業用建物の場合は6か月程度の予告期間をもって、賃借人が賃貸借契約の解約申入れをできる旨の条項が存在します。

2.解約の条項がなくても中途解約はできるのか?

 では、このような条項がなかった場合、賃借人は定期建物賃貸借契約(以下「定期借家契約」といいます)を解約することができるのでしょうか。

 これについては、民法によれば、期間を定めて契約した場合は、当事者が中途解約について特に合意をしていないのであれば、賃借人は、中途解約することができません。

 賃貸借契約は、賃借人の立場からすると、建物を利用できる権利がある一方、賃料を支払う義務を負担するという側面があります。これは賃貸人の立場からすると、建物を利用させる義務がある一方、賃料の支払いを受ける権利があるということになります。

 民法は、賃貸借契約が存続する期間を定めたのであれば、賃借人はその期間利用できることは保証されるが(賃貸人からの中途解約は認めない)、その一方で、そういう権利が保証された以上は、賃貸人の契約期間分賃料を得られる期待も保護すべきである(賃借人からの中途解約も認めない)という立場をとっているのです。

3.借地借家法の修正はないのか?

 もっとも、賃貸借契約については、多くの場面において、借地借家法による賃借人に有利な修正が行われており、この中途解約についても同法による賃借人に有利な修正が存在します。

 しかし、その修正は、賃借人からの中途解約権を正面から認めるものではなく、かなり限定的なものとなっています。

 その該当条文は、借地借家法38条5項ですが、これによると、①定期建物賃貸借契約であること、②居住用の建物の賃貸借契約であること、③床面積が200㎡未満であること(建物の一部分を賃貸しているときは、当該一部分の床面積が200㎡未満であること)、④賃借人がその建物を自己の生活の本拠として使用していること、⑤転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったことという要件を満たした場合は、賃貸借契約は、解約申入れの日から1か月を経過すると終了します。

 それ以外に、借地借家法に、中途解約について定める条文はありません。

 つまり、中途解約についての条項が存在しない場合は、借地借家法38条5項に該当する場合以外、やはり、中途解約はできないのです。

4.まとめ

 冒頭で述べたように、一般的な賃貸借契約書においては、賃借人からの中途解約についての条項が設けられています。

 しかし、それがない場合、賃借人にとって予想外の事態(解約したくても解約できない)ということが生じることになることに注意が必要です。

 逆に、賃貸人の立場からすると、中途解約の条項は必ず設ける必要があるわけではなく、中途解約条項を設けることそのもの、あるいは、設ける場合の期間について、検討する余地があるということになります (ただし、借地借家法38条5項の場合にも中途解約は認めないという条項を設けることは、同条6項により無効です) 。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成31年3月4日に執筆しています。

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