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従業員との間で秘密保持契約書を締結する意味とは

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

従業員との間で秘密保持契約書を取り交わす企業は多いと思います。

この点、裁判例及び学説においては、従業員(労働者)は、労働契約における附随義務として、信義則上、企業(使用者)の秘密を保持する義務を負っていると考えられています(東京高裁昭和55年2月18日判決など)。

そうすると、企業は、従業員が勤務している間は、あえて別途、秘密保持契約書を取り交わす必要がないようにも思えます。

しかし、何が「秘密」に該当するかは必ずしも明らかではなく、ここに秘密保持契約書を取り交わす1つのメリットがあります。

「秘密」の内容が不明確であると、従業員の立場からすると、何を「秘密」として守らなければならないのかわからず、引いては、従業員の理解不足に起因する秘密の漏洩が生ずるおそれがあります。

秘密保持契約書を取り交わすにあたっては「秘密」の中身を特定あるいは具体化することが可能ですから(例えば、「秘密」の定義規定において「『秘密』は●●を含むものとする」という条項を設けるなどが考えられます)、このような不明確さに起因する問題を、一定程度回避することができます。

これは秘密保持契約書を取り交わす1つのメリットと言えるでしょう。

その他のメリットについては、別途、記事にしたいと思います。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は令和3年2月20日に執筆しています。

Last Updated on 2023年8月29日 by takemura_jun