1.
法定時間外労働とは、労基法32条に定める法定労働時間、すなわち、1日8時間または1週40時間を超える労働のことをいい、法定休日労働とは、労基法35条に定める法定休日における労働のことをいいます。
一方、法内時間外労働とは、所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合に、所定労働時間を超えて法定労働時間の範囲内で行われる労働のことをいいます。例えば、所定労働時間が7時間である場合、7時間を超え8時間までの労働がこれに該当します。また、法定外休日労働とは、所定休日が法定休日よりも多く設定されている場合に、法定休日ではない日に行われる労働のことをいいます。例えば、土日週休2日制で、法定休日が日曜日と定められている場合に土曜日に行われる労働がこれに該当します。
2.
使用者は、法定時間外労働、法定休日労働について、割増賃金の支払い義務があります(労基法37条)。
なお、労基法の割増賃金の規制は強行法規的規制であって、使用者と労働者が割増賃金を支払わない旨の合意をしたとしても、労基法13条により無効となります(東京地裁・平成10年11月16日判決等)。
一方、法内時間外労働、法定外休日労働については、賃金の支払義務はありますが、割増賃金の支払い義務はありません。ただし、法定外休日労働については、これによって労働時間が週40時間を超えた場合は、40時間を超える部分につき、割増賃金が発生することになります。
3.
このように、法定労働時間、法定休日労働、法内時間外労働、法定外休日労働は、割増賃金の支払い義務について取扱いが異なりますので、割増賃金の計算においては注意が必要です。
Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun