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【業務委託契約書】この契約書、要注意!

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

【この契約書、要注意!】

最近、業務委託系の契約書で、よく目にするようになった条項があります。

具体的には、以下のようなものです。

第●条(損害賠償)
1 乙(受託者)は、本契約に違反することにより甲(委託者)に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負う。
2 前項につき、乙が負担する損害賠償の額は、受領済みの業務委託料を超えないものとする。

これ、どうでしょうか。

どうでしょうか、といっても、記事のタイトルで「要注意」と書いてあるとおり、要注意なのですが。で、要注意なのは2項です。

「損害賠償の額が業務委託料の金額を超えない」というのはアリな場合も多いと思います。

要注意なのは「受領済みの」の部分です。

業務委託契約の業務委託料は、通常は、業務完成後に支払われるように思います。

逆にいうと、業務が完成するまでは、業務委託料は支払われていないというこになります。

では、この要注意の条項が存在する、業務委託料が業務完成後に支払われる業務委託契約を締結したけれども、乙が仕事を納期までに完成させられず、そのために甲に大損害が生じたというケースを想定してみましょう。

この場合、契約書によれば、乙が受領済みの業務委託料はないですから、乙が賠償すべき金額はゼロになってしまいます。

もしそういう事態になったとしても、色々な理屈をつけて、この条項の適用はないのだという主張をすることができる可能性はあります。

ただ、契約書の文言とは異なる解釈をするというのは、相当に厳しいです。勝てたらラッキーレベルです。

委託者の側でこの条項を見たら、すぐに削除を求めましょう。

と書くと、「受託者側だったら、この条項は有利だから、しれっと入れた方がいいってことか??」と思われる方もいるかもしれませんが、それは止めましょう。

この条項、不誠実だと思います。

仕事中にミスしても責任を負わないって言ってるんです。

そんなことを言ってくる相手と取引をしたいと思いますか?

ということで、受託者側も、この条項は使う(提案する)べきではないと思います。

そんなところまで契約書を見てられないよ!という忙しい経営者の方、ぜひ契約書の専門家にご相談ください。

Last Updated on 2024年3月7日 by takemura_jun