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期間の定めのない賃貸借契約の解約申入れ(借地借家法27条)(マニアック借地借家法第4弾)。

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

借地借家法を深掘りして解説していく「マニアック借地借家法」第4弾。

今回のテーマは「期間の定めのない賃貸借契約の解約申入れ(借地借家法27条)」です。

民法617条によると、期間の定めのない賃貸借契約は、賃貸人も賃借人も、いつでも解約の申入れができ、建物の賃貸借契約については、解約の申入れの日から3か月を経過することによって終了します。

借地借家法27条は、民法617条の特則であり、期間の定めのない建物賃貸借契約につき、賃貸人からの解約申入れは、解約の申入れの日から6か月を経過することが必要とします。この期間を短縮することはできません(借地借家法30条)。

逆にいうと、同条は、賃借人からの解約申入れには適用はなく、民法617条のとおり、解約の申入れの日から3か月を経過することによって終了します。

さらに、借地借家法27条について、詳しく見ていきましょう。

なお、同条に基づく解約申入れにあたっては、借地借家法28条に規定する「正当の事由」を備える必要があるのですが、これにかかわる論点は、借地借家法28条の解説の際に、解説します。

そもそも、借地借家法27条の適用のある期間の定めのない賃貸借契約には、どのような賃貸借契約が含まれるのでしょうか。

契約締結時において期間について「定めない」と合意した場合はもちろんですが、そのほかにも、法定更新後の賃貸借契約(借地借家法26条1項但書)や、期間を定めた場合であっても、借地借家法29条により期間の定めのないものとみなされる期間1年未満の普通賃貸借契約も、借地借家法27条の適用があります。

では「永久貸与」という文言が契約書で使われている場合は、どのように考えるべきでしょうか。

この点について、判例(最高裁昭和27年12月11日判決)は、「永久貸与」という文言は「長くお貸しいたしましよう、長くお借りしましよう」という合意をあらわすもので、賃貸借契約の存続期間を定めたものではないとした原審の判断を是認しました。

続いて、解約の申入れの方法について見ていきましょう。

まず、解約申入れにあたっては、契約の存続を欲しない旨の意思表示がされたものと認められれば足り、その意思表示にあたって、いかなる理由によってやめるかを明らかにする必要はありません(最高裁昭和32年6月11日判決、最高裁昭和48年7月19日判決)

判例(最高裁昭和48年7月19日判決)は、賃貸人がある理由を挙げて解約の申入れをしても、それ以外の理由によっては、解約の申入れをしない旨を明らかにしているなど特段の事情のないかぎり、その意思表示は挙げられている理由のみによって賃貸借をやめる旨の意思表示ではなく、およそ賃貸借契約は以後一切やめるという意思表示であると解すべきとしています。

次に、解約の申入れの方式について、判例によれば、建物明渡請求訴訟の提起(最高裁昭和26年11月27日判決、最高裁昭和28年4月9日判決)、建物明渡調停の申立て(最高裁昭和27年12月11日判決)は、解約の申入れにあたるとしています。

なお、解約の申入れがされた場合は、相手方の同意がない限りは撤回できません(民法540条2項)。

続いて、解約申入れの効果です。

借地借家法27条1項によれば、賃貸人から解約申入れがあった場合、解約の申入れの日から6か月を経過することで、賃貸借契約は終了します。

しかし、同条2項により、借地借家法26条2項が準用され、期間満了後も賃借人が建物の使用を継続し、それに対して賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合、従前の賃貸借契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされることになります。

また、同じく同条2項により、借地借家法26条3項が準用され、期間満了後も転借人が建物の使用を継続し、それに対して賃貸人が遅滞なく異議を述べない場合、建物の賃借人と賃貸人との間の賃貸借契約は、従前の賃貸借契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。

Last Updated on 2024年1月29日 by takemura_jun