目次
1.従前の民法の規定
改正前の民法は、賃貸人の修繕義務につき、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」との条文を設けていました(606条1項)。
しかし、この条文では、賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合でも賃貸人が修繕義務を負担するのか否かが明らかではないという問題があり、学説上も対立がありました。
2.改正民法
そこで、改正民法では、前記の606条1項に「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」との但書が追加され、賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合は、賃貸人は修繕義務を免れることが明確化されました。
3.まとめ
民法改正は、賃貸人の修繕義務の範囲を明確化したという評価をすることができます。しかし、現実の紛争では、どの範囲の修繕が「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕」なのか問題となるのであって、紛争の予防という観点からは、賃貸人の修繕義務が生じる範囲を賃貸借契約において特定しておくことが重要です。
立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年12月10日に執筆しています。
Last Updated on 2023年9月21日 by takemura_jun