法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

賃借人の自殺による損害賠償責任

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳
弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

目次

賃借人は、目的物を善良な管理者の注意をもって使用収益する義務(善管注意義務)を負っています。

では、物件内において自殺しないようにすることがこの義務の内容に含まれるのでしょうか。

近時の裁判例では、物件内部において賃借人が自殺をした場合、当該物件の使用につき心理的な嫌悪感が生じるのが通常であり、このような事情が知られば、当該物件につき賃借人となる者が一定期間現れなかったり、適正賃料よりも相当低額でなければ賃貸できなくなることは明らかであるとして、当該物件内部において自殺しないように配慮することもその義務の内容に含まれるとするものが見受けられます(東京地裁平成19年8月10日判決、東京地裁平成22年9月2日判決、東京地裁平成26年8月5日判決)。

このように物件内での賃借人の自殺が賃借人の善管注意義務違反であるとすれば、それによって被る損害は相続人が負担することになります。

その場合に賠償するべき損害としては、自殺によって直接に生じた清掃費用等の損害のほか、将来の賃料収入の減額分が考えられます。なお、前記の裁判例では、1年間は賃貸不能であり、その後の2年間は相当賃料額の2分の1の額で賃貸せざるをえないとして、これを前提に将来の賃料収入の減額分の損害額を算定しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun

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