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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

弁護士が解説
サブリース契約におけるサブリース業者からの中途解約について

多発する借り入れを伴うサブリース契約のトラブルにおいて、一番避けたいのが期間満了前の中途解約の申し入れ。

オーナー(賃貸人)は、賃借人(サブリース業者)が長期間借りてくれることを前提に、
借り入れをして建物を建築するような場合、
賃借人が期間満了前に中途解約をして出て行ってしまえば、借り入れの返済ができなくなってしまいかねません。

これを逆手にとって、サブリース業者から減額請求をされるトラブルが多発しています。

このコラムでは「サブリース契約及び賃貸借契約の解約の法的な解釈」と「サブリース契約をする場合の留意点」についてご説明します。
サブリース契約をされる方は、是非、ご一読ください。
※記事を読んでいただく前にご留意ください。
「物件オーナーからサブリース契約を解約する事はできないか?」というお問合せが最近増えていますが、結論として「物件オーナーからサブリース契約を解約する事は難しい」ので予めご留意ください。


目次

目次

1.サブリース契約と賃貸借契約との違い

サブリース契約における中途解約について詳しく説明をする前に、
混同して使われがちな「賃貸借契約」と「サブリース契約」について、混乱を避けるために違いをご説明します。

【賃貸借契約】
一般的な不動産の賃貸契約で、物件の所有者(オーナー)が入居者と賃貸借契約を結び、入居者から家賃を受け取るシステム。
【サブリース契約】
サブリース業者や不動産会社が物件をオーナーから借り上げ、入居者に転貸するシステム。

サブリース業者や不動産会社は入居者から家賃を受け取り、その一部をサブリースの保証賃料としてオーナーに支払います。
サブリース契約を結ぶと、安定した賃料収入がサブリース業者や不動産会社によって保証され、入居者対応もすべてサブリース業者や不動産会社が行ないます。

2.サブリース契約及び賃貸借契約の解約の法的な解釈

期間の定めのあるサブリース契約及び賃貸借契約の解約について定める民法618条は、
当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、解約申し入れをすることができると規定します。

ここで重要なのは、期間内に解約をする権利を留保した場合に限り、解約申し入れをすることができるということです。
言い換えると(逆の言い方をすれば)、解約をする権利を留保しなければ、解約申し入れはできないということになります。

借地借家法は、建物の賃借人保護のために、賃借人に有利な形で民法を修正する規定を設けていますが、この点については、借地借家法による修正はありません。
一般的なサブリース契約及び賃貸借契約書においては、賃借人からの解約申し入れを認める旨の規定がありますが、
実は、民法からすると例外を定める規定ということになります。

賃借人からの解約申し入れを一切認めない契約書は、かなり珍しいとは思いますが、
そのような契約書は賃借人の立場で考えた場合、契約を終了させたいのに期間満了まで終了させられないということになりかねないので、
サブリース契約及び賃貸借契約を締結するにあたっては、注意すべき条項であるといえるでしょう。

3.サブリース契約をする場合の留意点について

ここまでは建物を借りる側の賃借人の立場でのサブリース契約及び賃貸借契約について説明してきましたが、
特にサブリース契約をする場合、賃貸人(オーナー)の立場で考えた場合の留意点について詳しく説明していきます。

賃借人(サブリース業者)が長期間(例えば30年)借りてくれることを前提に、借り入れをして建物を建築するような場合(借り入れを伴うサブリース契約)、
賃借人が期間満了前に中途解約をして出て行ってしまえば、借り入れの返済ができなくなってしまいかねません。

賃借人は、当然それはわかっているので、中途解約をちらつかせて、賃料減額を迫ってくる可能性があり、そうなった場合は、賃貸人としては苦しい立場に置かれることになります。
したがって、そのような形のサブリース契約をする場合は、中途解約条項について明確にする事が非常に大切です。

一般的に賃借人(サブリース業者)は、サブリース契約を結ぶ際に中途解約申し入れの条項を入れてきます。
賃貸人(オーナー)としては、中途解約に関す条項の削除を求める事ができますが、
賃借人からすると長期契約で中途解約が出来ないというのは大きなリスクをとなるので、抵抗される事が多いかもしれません。
ではどうすれば良いのか?
満期でなくても一定期間は解約不可とするなどの譲歩案での契約が妥当と言えます。
例)サブリース契約期間30年の内、20年は中途解約不可とする。等

また中途解約条項に賃貸人(オーナー)側が賃借人(サブリース業者)から中途解約を求められた際、
中途解約時の違約金について明記する事で、中途解約された際の負担を減らす為にも非常に重要となってきます。

4.まとめ

サブリース契約は、一般的には、転借人の入居状況にかかわらず、
建物オーナーに一定の賃料が支払われる契約内容となっており、
いわゆる空室リスクを抱えなくてよいという建物オーナーにとってとても大きなメリットが目立ちますが、
中途解約や賃料減額請求の大きなリスクを抱えています。
※賃料減額請求について詳しくは、別の記事「弁護士が解説 賃料増減額請求権とは?」にて解説をしています。

この様な事態を避けるためには、契約書の内容が非常に大切となります。
サブリース業者の様なプロを相手に契約内容を詰めていく事は、
不動産オーナーとなる方には大変な苦労を伴う作業となります。
また、苦労して結んだ契約にも関わらず、結果的に穴があり大きな損害を受けてしまう事になりかねません。

サブリース契約を締結する前に、専門家(弁護士)にご相談することを強くお勧めします。

サブリース契約書作成の強い味方

そこでお役に立てるのが弁護士です。
私、竹村淳は
「契約書作成・チェック」「サブリース契約及び賃貸借契約関係」を得意としています。

サブリース業者との契約書作成、
中途解約の申し入れ、賃料減額請求を受けてお困りの場合は、
ぜひとも私にご相談ください。

・サブリース契約書の作成、チェック
・賃料減額請求における
資料の精査、賃料減額請求の裁判実務において
どのような賃料決定がされているのかを主張するお手伝い

サブリース業者に一人で立ち向かう事はとても困難です。
お困りの際は、先ずはお気軽にお問合せください。

弁護士竹村淳への相談は、
事務所(オレンジライン法律事務所 東京都立川市柴崎町3-9-7 多摩川実業ビル4階)にお越し頂いたうえでの面談、
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    Last Updated on 2023年11月21日 by takemura_jun