下請法における代金支払期日の規制
下請法2条の2によれば、親事業者は、物品等を受領した日または下請事業者が役務の提供をした日から起算して60日以内に、代金の支払期日を定める義務があります。
これはどういった効果をもたらすのでしょうか。具体例を挙げます。
契約上、「代金の支払い期限は納品日の翌月末」という規定があるとします。
その前提で、3月15日に納品がされ、納品日の翌月末である4月30日に支払いがされたときは、60日以内の支払いですから、問題がないことになります。
では、3月1日に納品がされ、4月30日に支払いがされたときはどうでしょうか。
この場合、3月1日から起算して60日は、4月29日です。
そうすると、この場合の代金支払いは、契約の規定「代金の支払い期限は納品日の翌月末」の範囲内ではあるものの、下請法の代金の支払期日の規定に違反することになってしまいます。
これがどういう効果をもたらすかというと、下請法4条の2により、60日を超えた1日分につき、14.6%の遅延利息を支払わなければならないことになるのです。
以上の例は限界事例的ではありますが、契約書に「代金の支払い期限は納品日の翌々月末」というような、明らかに下請法的に問題のある規定が設けられることもあり、そして、それに従った支払いがなされ、下請法の遅延利息が支払われないケースがありますので、注意が必要です。
弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は令和4年6月13日に執筆しており、同日時点で有効な法律を前提にしています。
Last Updated on 2023年8月29日 by takemura_jun