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弁護士が詳しく解説
契約書作成時におさえておくべきたった2つの注意点

さてこの記事では契約書作成時の注意点について解説をしていきます。
実際の契約書の条文や具体例を挙げて、出来る限り分かりやすく解説をしました。

この記事を読んでいただく事で、
・契約書を作り、交わす意味が理解できる
・契約書の内容が重要である事が分かる
・契約書を作成する際の注意点が明確になる。
・契約書に潜むリスクを知れる
・契約書を見直す機会になる
・契約書マスターになれる?

多発する契約書によるトラブルからの回避にお役に立てると嬉しいです。

目次

1.契約書はなぜ交わす?

契約書はを交わす理由をご存じですか?
そんな基本的な事は分かっていそうですが、意外と分かっていない事が多いです。
ここを理解しているかいないかで、契約書の見方が変わってきますのでお付き合いください。

さて、日本の民法は、原則として、当事者の合意があれば、契約が成立するという建前をとっています。
つまり、民法的には、契約書を作らなくとも、契約は成立します。

そうであるにもかかわらず、契約書を交わすのはなぜなのでしょうか?
例を出してみます。

-例-
あなたはAさんに1000万円を貸しました。

しかし、Aさんは「1000万円はもらったものだ。返す必要はない」と言い出し、返してくれません。

なお、Aさんは、不動産を持っており、それを売れば1000万円は返ってきそうです。
こういうシチュエーションであれば「よし裁判だ!」となるのではないでしょうか。

で、裁判を起こしました。
裁判というのは、ご存知のとおり、裁判官が審理をし、判決をする手続きですが、裁判官はなにも事情を知らないわけですから、事情を説明する必要があります。

このとき、あなたがAさんに1000万円を貸し、いついつまでに返すと書いてある借用書があったらどうでしょうか?
その借用書が提出されれば、裁判官に「ああ、1000万円は貸したのだな」とすぐに理解してもらうことができ、勝訴が近づきます。

一方、そのような借用書がなかったらどうなるでしょうか?
1000万円を渡したシチュエーションからして貸付の合意があったといえるなどと主張することになるのでしょうが、 借用書を証拠として提出できる場合に比べて、弱いということは一見してお分かりになるかと思います。

このように、契約書は、
合意が存在すること、そして、その内容がいかなるものであるかを示す証拠となるのであり、それが契約書を作り、交わす意味ということになります。

裁判の証拠なんて大げさなと思われるかもしれません。裁判なんて考えて契約書は作っていないという声も聞こえてきそうです。
しかし、契約書がある以上、その内容にしたがわなければならないと皆が思う理由は、
契約書に反する言い分は裁判では通らず、裁判で負けることになる可能性が高いという潜在意識があるからにほかなりません。

つまり契約書があるからこそ、皆が無駄な争いをしなくなるのです。

繰り返しますが、契約書を交わす意味は「合意が存在すること、そして、その合意の内容を証明する証拠となること」にあります。
これ、とても大切なポイントですので、最後まで覚えておいてください!

2.契約書作成時の注意点は2つ

契約書作成時のチェック方法の細かいテクニックは語ろうと思えばいくらでも語れますが、
今回は、ありうる契約書作成時の「注意点」の話です。
いきなり核心ですが、注意点は以下の2点のみです。

1.リスクの検討:その取引におけるリスクがなにかを検討し把握する。
2.明確性:ことばを可能な限り明確にする。

以上の2点、これができれば大丈夫。契約書マスターです。
え?これだけ?と思われるかもしれませんが、私自身がやっている契約書チェックも、基本的にこの2点だけです。

3.ポイント1-1. リスクの検討

前述しましたポイント「1.リスクの検討:その取引におけるリスクがなにかを検討し把握する」について詳しく解説していきます。
私が民法のなかで一番重要と思う条文として、
民法91条という条文があります。

-条文-
「法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う」

という条文なのですが、
これがどういう条文なのかというと、簡単にいえば、法律がそうしなければ無効と定めている場合以外は、当事者が決めたことがそのまま効力を有するということを定めた条文ということになります。

つまり自分に有利な取り決めができればいいけれども、不利な取り決めをしてしまったらピンチに陥る
これが民法のルールです。
少なくとも事業者であれば、うっかり変な合意をしてしまった、、、は通りません。
だからこそ、取引におけるリスクをしっかりと分析し、それを防ぐためにはどうすればいいのかを検討する必要があるのです。

4.ポイント1-2. 誰でもできるリスク分析方法

契約書作成の上でリスク分析をしないと、ピンチに陥る事はご理解をいただけたかと思います。
では、どうやってリスクを分析すればいいか?
リスク分析と言うと、凄く難しそうで「自分には無理・・・。」と言う声が聞こえてきそうですが、
私も普段使っている、意外と簡単で誰でもできるおすすめ方法です。

実際の取引相手がどういう人かはさておき、

とんでもなく意地の悪いクレーマー気質の相手と取引しなければならないシチュエーションを想像してください。

そして、その相手がどんな言いがかりをつけてきそうか考えてみてください。
こんなこと言ってくるかも?ということが思い浮かびませんか?

ズバリ!それがリスクです。

そして、それを防ぐためにはどういう取り決めにすればいいかを考えましょう。
いかがでしょうか?
まだピンと来ないかもしれないので、具体例を挙げてさらに検討してみようと思います。

5.ポイント1-3. リスクの検討具体例1

ここまで、ポイントの1つ「その取引におけるリスクがなにかを検討し把握する」の概略についてお伝えしましたが、今回は具体例を挙げてみたいと思います。

【具体例】
あなたはウェブサイト制作業者です。

ある会社から、自社ウェブサイトがないので作ってほしいとの依頼を受けました。
仕事を引き受けるにあたり契約書を作ろうと考えています。
さて、契約書を作るにあたっては、どこに注意すべきでしょうか?
この契約の場合、リスクはどこにあるのでしょうか?

実際の条文を見ていきましょう。

-条文-
第●条(業務の内容) 乙(先方)は甲(あなた)に対し、乙の自社ウェブサイト一式の制作を依頼し、甲はこれを受託した。-
-
Q:業務の内容を定める条文がこれだけだった場合、私としては、危ないと思います。
なぜか?
前回お伝えした、リスク検討のおすすめの方法を思い出して頂きたいのですが、-
「とんでもなく意地の悪いクレーマー気質の相手がどんな言いがかりをつけてきそうか」考えてみましょう。-
なにか見えてこないでしょうか?

A:もったいぶっても仕方がないので、答えをいいますと、
この条文では、乙の自社ウェブサイトを制作することはわかりますが、
そのウェブサイトがどのようなものであるか?
例えば、構成、デザイン、ページ数、機能などがどのようなものであるのかは、全くわかりません。

そうするとどういうことが起きるかというと、

例えば、なにをもって完成なのかがよくわからないということになり、
こちらが完成と思って納品しても、先方が完成していない(だから代金は払わない)と主張して、
延々と先方が納得するまで作業をやるはめになってしまうことが想定されます。

想定外の作業をやらされ、
かつ、それがどこまで続くかもわからないということが重大なリスクであることはお分かり頂けるのではないかと思います。

こういったリスクをあぶりだす作業が「その取引におけるリスクがなにかを検討し把握する」ということなのです。
ちなみに、この業務の範囲をめぐるトラブルは、トラブルの類型としては非常に多い印象を受けます。

契約時に見落としがちな契約内容について、リスク検討の具体例を挙げて更に触れていきます

6.ポイント1-4. リスクの検討具体例2

契約をするときに、あまり検討しないまま契約をしてしまう条項のひとつに損害賠償についての条項があります。

民法によれば、契約違反があった場合、契約違反があったことにより通常生じるであろう損害の賠償を請求できます。
契約書の中で何も決めていなかった場合は、この民法のルールが適用されることになります。

また、契約書上も、民法と同じような条文が設けられていることも多いです。
しかし、この民法のルールは、一見すると、ごく当たり前のことを言っているようであり、妥当なルールのように思えますが、場合によっては、大変なことになります。

-例-
例えば10万円で引き受けた仕事であっても、
仕事にミスがあって、相手に1億円の損害が生じ、それがそのミスによって通常生じうる損害といえるのであれば、

損害の全額を賠償しなければなりません。

類型的にいえば、何らかのアドバイスをして、それによって相手のお金が動くというようなコンサルティング系の業務は、
このようなリスクを含んだ業務といえるでしょう。

Q:では、契約書上、どのように対処すれば良いのでしょうか?

A:業務委託契約で考えてみましょう。 この場合の方向性は2つです。
1つは、
賠償しなければならない場合を、故意または重過失があった場合に限定するという方向です。
これは、ごくわずかなミスの場合は損害賠償請求を受けないようにするというものですが、逆の立場(委託者側の立場)からすると、賠償請求が受けられる可能性がかなり狭くなるので、なかなか受け入れがたい条文かもしれません。
ただ、方向性の1つとしては考えられます。
もう1つは、
賠償額に制限を設けるという方向です。
具体的には「ただし、賠償額は●円を限度とする」というような条項を設けることです。
先ほどの故意・重過失があった場合と比較すると、賠償は受けられるので、委託者側の立場からすると、受け入れやすいかもしれません。

さて、いまは受託者の側から検討しましたが、この損害賠償請求についての定めは委託者の側でも注意しなければならないということは、お気づきになりましたでしょうか?

答えを言ってしまうと、受託者から提示された契約書の損害賠償請求についての定めが、損害を賠償するのは故意または重過失がある場合に限るというようなものであった場合、賠償請求ができる場合がかなり限定されてしまうことになりかねません。

あえて繰り返し述べますが、特に事業者同士の場合ですが、一旦契約をしてしまえば、条項が一方的に不利のように見えても、もはや覆すことはできません。

損害賠償請求にかかわる条項は、あまり検討せずに進めがちですが、受託者にとっても委託者にとっても、大きなリスクを含んだ条項であり、慎重な検討が必要なのです。

7.ポイント2-明確性

前述しましたポイント「2明確性:ことばを可能な限り明確にする。」について詳しく解説していきます。
今回は具体例からいきます。
ある会社は、従業員が入社するときに、以下のような記載のある誓約書を取り交わしています。

-条文-
従業員は、在職中において知り得た業務上の秘密を、在職中はもとより退職後も、他に漏らしてはならない。

Q:これはいわゆる秘密保持義務を従業員に課すものですが、どこに問題があるでしょうか?

A:答えは「秘密」に該当するものが何なのかわからない、ということです。
言い換えると、秘密漏洩のトラブルになったときに、「秘密」に該当するかどうかといういわば入口ところで、争いとなってしまいかねないということです。
では、どうすればいいかというと、この「秘密」の内容をより明確にするということになります。

例えば、飲食店であれば、
レシピに関する情報はわかりやすいですが、それ以外にも、売上に関する情報や、仕入れなどに関する情報も守っておきたい情報といえそうです(これは以前、お伝えしたリスク分析の話の問題です)。
これを盛り込むとこういう文言になります。

従業員は、在職中において知り得た業務上の秘密(レシピに関する情報、売上に関する情報、原価に関する情報、仕入れ先に関する情報、人事情報を含むがこれらに限られない)を、在職中はもとより退職後も、他に漏らしてはならない。

どうでしょうか。かなり明確になったと思いませんか。

不明確なことばを明確にする(不明確なことばをできるかぎり使わないようにする)。
これは契約書チェックの重要なポイントです。

8.まとめ

ここまで、
・契約書を交わす意味は「合意が存在すること、そして、その合意の内容を証明する証拠となること」。
そして、
・契約書作成時の注意点はたったの2つ。
1.リスクの検討:その取引におけるリスクがなにかを検討し把握する。
2.明確性:ことばを可能な限り明確にする。
について詳しく解説してきました。

ビジネスには当然起きうるリスクが存在します。
こうしたリスクについて、契約書上で何も手当をしていないがために大損失を被ることになったケースに良く出会います。
損をするのは、依頼者のケースだけでなく、依頼者の相手方に及ぶ事もあります。
いずれにせよ後味の良いものではありません。

ここまでの解説で、
契約書がいかに大切か?
契約書内に潜むリスクがある事をご理解いただけたかと思います。
この解説が契約書を見直す機会に繋がると嬉しいです。

自分でリスク分析をし、それを防ぐ対処をしていくのは難しそうだな、、、と思った方は、専門家にご相談ください!
契約上のトラブルに発展する場合、契約書作成時に専門家(弁護士)のチェックが入っていない事が多いのが事実です。
契約書作成にお金をかけたくないのは理解できなくはないのですが、
これをケチったために
大きな契約上のリスクが顕在化してしまっては元も子もありません。
少なくとも、自社のメインの業務に関する契約書の作成時には、専門家(=弁護士)のチェックを入れる事をお勧めします。

契約書作成の強い味方

私、竹村淳は
「契約書作成・リーガルチェック」を得意としている弁護士です。

契約書の作成、チェックに少しでも不安のある方は、ぜひとも私にご相談ください。

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    Last Updated on 2024年2月26日 by takemura_jun