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研修って労働時間に該当するの?

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立川弁護士 竹村淳
弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

目次

判例によれば、労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるかどうかによって決定されます(最高裁平成12年3月9日判決・三菱重工業長崎造船所事件)。

では、研修時間は、労働時間に該当するのでしょうか。

この点、厚生労働省が平成29年1月20日に策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、前記の判例の基準をふまえ、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」は、原則的に労働時間に該当すると判断すべきとしており参考になります。

研修の労働時間該当性が争われた裁判例として、名古屋地裁平成16年1月20日判決・オンテックス事件があります。

同事件では、入社日以前の2日間に行われた研修の労働時間該当性が争われましたが、裁判所は、業務内容や就労条件の説明等が行なわれたとしても、それだけで直ちに会社の指揮命令下に置かれたと評価することはできないし、研修の案内文書を見ても、参加の強制などの事情はは認められないとして、研修の労働時間該当性を否定しました。

このように、研修の労働時間該当性を判断するにあたっては、参加を義務づけられているかどうかという点が重要な判断要素となります。

この点、研修の内容が業務との関連性が強ければ、従業員の立場から見れば、研修に行かないという選択肢をとりづらい以上、業務との関連性が強いという事実だけで参加を義務づけられていたという判断に傾きやすいでしょうし、業務との関連性が弱ければ、関連性の強い場合と逆の理由で、参加を義務づけられていなかったという判断になりやすいということができるかもしれません。

もっとも、業務との関連性が弱くとも、会社がその行事への参加を、明示であれ黙字であれ、指示していたという事情が認められるのであれば、労働時間に該当するという判断となってくるでしょう。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年5月4日時点の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun

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