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現金は遺産分割の対象財産か(最高裁平成4年4月10日判決)

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

預金は相続開始により当然に分割されるというのが最高裁の立場ですが(最高裁昭和29年4月8日判決)、預金ではなく、現金はどのように取り扱われるのでしょうか。

この点につき、最高裁は、ある相続人が、被相続人が保管していた現金を引き継いで保管している他の相続人に対し、法定相続分に応じた支払いを求めた事案において、遺産分割までの間は、自己の法定相続分に相当する金銭の支払を求めることはできないとの判決をしました(平成4年4月10日判決)。

この判決は、明示はしていないものの、現金は遺産分割の対象財産であることを前提としていることは明らかであり、そうすると、最高裁は現金と預金とで全く異なる取扱いをしていることになります。

現金と預金とで取扱いを異にする理由を見出すことは困難なように思われ、預金を当然分割とする昭和29年4月8日判決の考え方は、この判決の時点で、変更される可能性が高まっていたのかもしれません。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun