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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

借用書も簡単ではない

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

【借用書も簡単ではない】

立て続けに借用書を作りたいという相談を受けているので、借用書を作るうえでの、おそらく、もっとも重要なポイントをお伝えします。

返済については分割払いとすることが多いと思います。

例えば、100万円を毎月10万円ずつ返済するという場合を考えてみましょう。

借主は、100万円を借り受け、これを毎月末日までに、毎月10万円ずつ返済するものとします。というような内容の借用書を取り交わしたとします。

さて、借主は、初回(初月)からいきなり返済せず、その次の月も返済しませんでした。

貸主としては、ふざけるな!ということで、一括弁済を求めたいと考えています。

さて、前記のような条項しかない借用書をとりかわしていた場合、貸主は、全額の一括返済を求められるのでしょうか。

結論としては、借用書の文言からは「できない」ということになります。全額請求するためには、10か月が経過するのを待たなければなりません。

これは、借用書は、毎月10万円ずつ返せばいいということしか定めておらず、約束どおりに分割金の返済がされなかった場合に、残りの分割金がどうなるのかということを定めていないからです。

仮に分割金の支払いが遅れた場合に一括弁済できるようにしたいのであれば、そのような文言を設ける必要があります。

例えば、「分割金の支払いを怠り、その金額が5万円に達したときは、残金を一括で支払うものとします」というような文言です。

このような文言がなくても、借入れをする経緯、例えば、分割金の支払いを怠ったときは一括弁済するというやり取りがあったといことを証明できれば、一括弁済を求めることはできます。

しかし、それは手間ですし、うまくいかない可能性もあります。

ですから、そういう意思があるのであれば、きちんと借用書に落とし込む必要があるのです。

借用書というのは、イメージ的にはありふれた契約書かもしれませんが、実はそう単純ではないのです。

Last Updated on 2023年8月29日 by takemura_jun