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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

年次有給休暇の時季指定権行使の時期

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

判例は、労基法39条の年次有給休暇の権利は、労基法上の要件が満たされることによって当然に発生する「年休権」と、有給休暇を取得する時季を指定する「時季指定権」の2つによって構成されるとの立場をとっています(最高裁・昭和48年3月2日判決)。

このような立場に立った場合、発生した「年休権」は、労働者が「時季指定権」を行使することによって具体的な効果を生じることになりますが、「時季指定権」の行使の時期を制限することはできるのでしょうか。

この点、判例は、就業規則の前々日までに有給休暇の請求をしなければならない旨を定めていた就業規則に違反し、当日になって有給休暇の時季指定をしたという事案について、合理性を有するものであり、労基法39条に違反するものではないと判断しました(最高裁・昭和57年3月18日判決)。

では、労働者がなんらかの事情によりあらかじめ時季指定権を行使しないまま欠勤した場合に、事後的に有給休暇として取り扱うよう請求することはできるのでしょうか。

この問題については、使用者に時季変更権が認められていることに照らすと、労働者の時季指定は使用者において事前に時季変更の要否を検討し労働者にその告知をするに足りる相当の時間を置いてなされなければならないのであって、有給休暇の事後請求はできない(事後請求によって当然に休暇取得の効力が生じるものではない)とされています(東京高裁・平成6年3月24日判決)。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun