直接払いの原則とは(労基法24条1項)
労基法24条1項は「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定し、同項により、使用者は、賃金を、直接労働者に支払わなければなりません。これを賃金の直接払いの原則といいます。
判例によれば、労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を第三者に譲渡した場合においても同項の適用があり、賃金債権の譲渡自体は有効であるが、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならず、したがって、賃金債権の譲受人は自ら使用者に対しその支払を求めることは許されないとされています(最高裁昭和43年3月12日判決)。
もっとも、その後の裁判例においては、労働者が生計を同一にする配偶者への賃金債権の譲渡をし、使用者が譲渡を受けた配偶者へ賃金を支払ったという事案につき、同項の立法趣旨は第三者への中間搾取を防止することにあるところ、生計を同一にする夫婦間の譲渡の場合は自らもその賃金を使用できるとして、配偶者への賃金の支払いを有効としたものがあります(東京地裁昭和43年4月4日)。
なお、
通貨払いの原則についてはこちらをご参照ください。
弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成29年12月17日時点の法律に基づき執筆しています。
Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun