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非公開会社である取締役会設置会社において代表取締役を株主総会の決議により選任することの可否(肯定)(最決平成29年2月21日)

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

非公開会社である取締役会設置会社において代表取締役を株主総会の決議により選任することの可否(肯定)(最決平成29年2月21日)

会社法は「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」と定めており(295条2項)、これによれば、取締役会設置会社であっても、株主総会で代表取締役を選任する旨を定款で定めれば、株主総会で代表取締役を選任することができることになりそうです。

しかし、その一方で、会社法は「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる」と定め(349条3項)、また、取締役会設置会社においては、取締役会が代表取締役の選定を行うものと定めていることから(362条2項3号)、取締役会設置会社では、定款の定めがあったとしても代表取締役を選任できないという解釈も成り立ちます。そして、そのように解釈すべき実質的な理由として、定款で株主総会の決議により代表取締役を定めることができるとすると、代表取締役の職務執行に対する取締役会の監督権限を弱めることになることが指摘されていました。

この点につき、最高裁は、会社法295条2項につき、株主総会の決議事項として定款で定めることができる事項について明文の規定を置いていないこと、そして、取締役会設置会社である非公開会社において、株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができるとしても、代表取締役の選定及び解職に関する取締役会の権限(362条2項3号)が否定されるものではなく、取締役会の監督権限の実効性を失わせるとはいえないことを理由に、株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効と判断しました。

解釈に争いがあった点に決着をつけたという意味において重要な判例ですが、最高裁は「非公開会社においては」という限定を付しており、公開会社の場合にどのように解釈されるのかは明らかになっていないという点には注意が必要です。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun