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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

従業員の給与振込口座を会社が指定できるか

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

同じ銀行間の振込である場合、振込手数料を無料としている銀行は多いと思われます。では、振込手数料を節約するために、給与振込先の口座を会社が指定することはできるのでしょうか。

この点、 労基法24条1項本文は「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と規定しています。

つまり、給与は、現金で、手渡しで支払うことが、労基法上の原則なのです。これを「通貨払いの原則」「直接払いの原則」といいます。

しかし、これには例外があり、従業員の同意を得た場合には、従業員が指定する口座に振り込むことができます(労基則7条の2第1項)。

なお、通達によれば、同項における「同意」については、従業員の意思に基づくものである限り、その形式は問わず、「指定」とは、従業員が給与先として銀行その他の金融機関に対する当該従業員本人名義の口座を指定するとの意味であって、この指定が行われれば同項の同意が特段の事情のない限り得られているものと解するべきとされています。

以上から、設問の回答としては、会社としては給与の振込先の口座を強制することはできないということになります。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は令和3年2月15日に執筆しています。

Last Updated on 2023年8月29日 by takemura_jun