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採用内定取消しが認められるボーダーライン、ご存知ですか?(その1)

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳
弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

目次

採用内定の取消しについて

採用内定とは、企業への採用が決定してから入社するまでの関係のことをいいますが、この法的性質については、採用内定によって、内定者と企業との間で労働契約が成立しているが、入社日から就労を開始するという始期があり、また、卒業できない等の事情が発生した場合は採用内定を取り消すことができる旨の解除権が留保されている「始期付解約権留保付労働契約」であると理解されています(もっとも、個別事情によっては異なる法的性質となる可能性があります)。

では、いかなる場合に採用内定の取消し=解約権の行使が認められるのでしょうか。

採用内定も労働契約が成立していると考えるのであれば、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は解雇を無効とする労働契約法16条との関係が問題となり、判例(最高裁昭和54年7月20日判決・大日本印刷事件)も、採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的に認められ、社会通念上相当として是認することができることが必要であるとしています。

もっとも、既に就労を開始している試用期間中の労働者を解雇する場合に通常の解雇よりも広く解雇が認められることからすると、就労を開始していない内定者との労働契約の解消はさらに広く認められるべきと考えられます。

次回の更新では、採用内定の取消しが問題となった裁判例を紹介します。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年3月9日時点の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun

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