立川の弁護士に法律相談なら当法律事務所へ

法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

借地上の建物の譲渡・転貸と地主の借地契約の解除権

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

借地上の建物の譲渡・転貸と地主の借地契約の解除権

 

民法612条1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」と規定し、さらに、同条2項は「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」と規定します。

これによれば、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに、賃借権を第三者に譲渡または転貸し、賃借物の使用または収益をさせたときは、賃貸人は、賃貸借契約を解除することができることになります。

では、建物所有目的で土地の賃貸借契約が締結され、当該土地上に建物が建築された場合において、地主の承諾なく、土地上の建物が第三者に譲渡されたときは、地主は、賃借権の譲渡があったとして、土地の賃貸借契約を解除することができるのでしょうか。

この点、最高裁は、建物の所有権は、その敷地の利用権を伴わなければ、その効力を全うすることができないものであるから、借地上にある建物の所有権が譲渡された場合は、特別の事情のないかぎり、それと同時にその敷地の賃借権も譲渡されたものとすべきとの立場をとっており(最高裁昭和47年3月9日判決)、この立場によれば、賃借権の無断譲渡を理由に、土地の賃貸借契約を解除しうるということになります。

では、前記の説例において、地主の承諾なく土地上の建物を第三者に賃貸した場合は、借地の転貸があったとされ、地主は土地の賃貸借契約を解除できるのでしょうか。

これについては、土地の賃貸人が土地上の建物を自ら使用するか、他人に使用させるかによって、建物所有による土地使用という態様事態には何らの違いはないことから、借地上の建物を第三者に賃貸しても、借地の転貸をしたことにはならないとされています。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年11月27日時点の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun