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借地借家法25条の「一時使用」とは?

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

借地借家法25条の「一時使用」とは?

 

1.借地借家法25条

 

借地借家法25条は「第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。」と規定し、これによると、「一時使用」のために借地権を設定した場合は、最低30年とする借地権の存続期間の規定(3条)や更新拒絶に正当理由が必要とする規定(6条)等が適用されなくなります。

このように「一時使用」のための借地権であるかどうかによって、法律関係が大きく変わって来るので、「一時使用」であるかどうかは、借地権設定者にとっても、借地権者にとっても、非常に重要な点となります。

2.判例

 

「一時使用」であるかどうかの判断基準につき、最高裁は「その目的とされた土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等、諸般の事情を考慮し、賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的合理的な理由が存する場合にかぎり」、「一時使用」に該当するとの立場をとっています(最高裁昭和43年3月28日判決)。

3.弁護士竹村淳の見解

 

最高裁の判断基準によると、契約書上の契約期間が短期間であり「一時使用」という文言が使われていたとしても、それだけでは「一時使用」に該当するとはいえず、土地の利用目的や建物の種類、設備、構造等の様々な事情を考慮したうえで、短期間にかぎる合意をする客観的合理的な理由あるといえなければ、「一時使用」に該当しないということになります。

最高裁が挙げる考慮要素のうち、土地の利用目的についていえば、例えば、その土地で継続的に営業を行うことが予定されているとすれば、短期間にかぎる合意をする客観的合理的な理由はないということになりそうです。

次に、建物の種類、設備、構造について、例えば、プレハブのような仮設建物の建築しか認められていないとすれば、「一時使用」を肯定する事情となるでしょうし、逆に、容易に取り壊せないような建物を建てることが認められているのであれば、否定する事情となるでしょう。

しかし、最高裁の基準によっても、現実の借地契約が「一時使用」に該当するかどうかの判断は容易ではありません。

冒頭に書いたとおり「一時使用」であるかによって、大きく法律関係が変わる(場合によっては予想外の不利益を被る)ことをふまえると、「一時使用」の借地契約を締結することを検討しているのであれば、専門家である弁護士にアドバイスを求めるべきと思います。

立川弁護士 竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年11月7日時点の法律に基づき執筆しています。

 

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun