法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

賃貸借契約の保証人(民法改正)

この記事を書いた人
立川弁護士 竹村淳
弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

目次

1.現在の保証人の地位

賃貸借契約においては、多くの場合、連帯保証人をつけることを求められます。

しかし、現在の民法では、賃借人の連帯保証人となると、思わぬ責任を負担することになりかねません。

例えば、マンションの賃借人が室内で火災を発生させ、マンション全体を全焼させてしまったような場合、連帯保証人は、賃貸人から膨大な金額の損害賠償請求を受けることになります。

2.民法改正

この点、民法改正により、次の条文が置かれることになりました。

民法465条の2

1 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
3 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する

やや複雑な条文なのでわかりにくいですが、改正後の民法465条の2によると、賃貸借契約のように、賃貸借契約という「一定の範囲」から生じる、将来の賃料、損害賠償債務等の「不特定の債務」を保証する場合については、保証人が法人ではないときは、保証人として負担すべき金額の最大額を定めなければ、保証契約自体が無効になるということです。

3.まとめ

この改正は賃貸借契約の連帯保証人の責任軽減という観点からは、画期的な改正ということができるでしょう。

一方、賃貸人の側からいうと、現在の賃貸借契約書の多くは極度額の定めを設けておらず、漫然と現在の賃貸借契約書を使い続けた場合、契約書上は連帯保証人が存在するとしても、極度額の定めがないということで、保証契約は無効となり、連帯保証人に対し何も請求できないということになりかねません。

賃貸オーナーの方は絶対に見落としてはならない改正事項だと思います(これ以外にも、民法改正によって、保証人をつけるにあたって注意すべき点が増えたのですが、これについては、別に述べます)。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は令和1年8月27日に執筆しています。

Last Updated on 2023年9月21日 by takemura_jun

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