不起訴の合意の有効性の判断方法(最高裁・令和6年7月11日判決)
不起訴の合意とは、特定の権利または法律関係について裁判所に訴えを提起しないことを約する私人間の合意のことをいいます。
この不起訴の合意について、最高裁は、以下のような判断をしました(最高裁・令和6年7月11日判決)。
① 不起訴の合意はその効力を一律に否定すべきものではない。
② しかし、不起訴の合意は憲法32条の裁判を受ける権利を制約するものであることから、その有効性については慎重に判断すべきであり、公序良俗に反する場合には無効となる。
③ 公序良俗に反するかどうかは、当事者の属性及び相互の関係、不起訴合意の経緯、趣旨及び目的、不起訴合意の対象となる権利または法律関係の性質、当事者被る不利益の程度その他諸般の事情を総合考慮して決すべきである。
一般的に不起訴の合意の有効性は慎重に判断されるべきと考えられていたところ、この最高裁の判断は、その有効性の判断(公序良俗に反するかどうかの判断)において考慮すべき要素を明らかにした点に、重要な意義があります。
この記事は、2024年7月14日に執筆しました。
Last Updated on 2024年7月14日 by takemura_jun