立川の弁護士「竹村淳」が専門的観点から執筆 法律コラム

性同一性障害による性別変更×民法・その1

コラム2016-01-30

Last Updated on 2016年2月17日 by takemura_jun

性同一性障害を理由に男性に性別変更をしたA(生物学的には女性)が妻Bと結婚。結婚後、妻Bは、夫Aの同意のもと、夫A以外の男性Cの精子を用いた人工授精によって、子どもDを出生。

この場合、子どもDの戸籍上の父はどのように記載されるのか。

この問題の前提として、民法には「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」という条文があります(772条1項)。

この条文によると、Dは妻Bが婚姻中に懐胎した子ですから、Dの父は夫であるAということになりそうです。

しかし、Aは生物学的に子どもをもうけることはできないのですから、772条1項を適用する前提を欠いているとも考えられます。

以上を前提に、区役所は「父」の欄を空欄とするという対応をとりました。区役所はDは民法772条1項の適用を受けないと判断したのです。

AとBはこれを不服として、「父」の欄に「A」と記載することを求めて、裁判所に訴え出ました。

その結果は、、、次回に続く。

TOPへ