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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

住宅宿泊事業法(民泊新法)ってどんな法律?

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)ってどんな法律?

「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」を行う場合、旅館業法上の許可が必要です(過去記事参照)。しかし、住宅を活用して宿泊サービスを提供する、いわゆる「民泊」は世界各国で展開されており、日本でも急速に普及する状況があること、そして、外国人観光客を含む宿泊需要の拡大や宿泊ニーズの多様化に対応する必要があることに対し、旅館業法上の許可を得なければ、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」を行うことができないというのは、あまりに厳しすぎる規制ではないかとの問題意識が生じました。

そこで、既存の旅館業法の許可を得ることなく住宅を活用した宿泊サービスの提供を可能とする「住宅宿泊事業法」(いわゆる民泊新法)が制定されました。

以下、住宅宿泊事業法のポイントです。

同法により宿泊サービスの提供が認められる「住宅」とは、当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の設備があるものとされており(法2条1項1号)、浴室等がない一般的なテナントビルや倉庫等は対象外です

また、宿泊日数は年間180日を超えてはならず(法2条3項)、これを超えた場合は旅館業法上の許可を取得しなくてはなりません。なお、都道府県等は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、条例で区域を定めることにより、実施期間を制限できます(法18条)。

宿泊サービスを提供しようとする者(「住宅宿泊事業者」といいます)は、都道府県知事に届出をしなければならず、この届出により旅館業法上の許可を得ることなく、宿泊サービスを提供することが可能となります(法3条)。

事業を実施するにあたっては、衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示等の措置を義務づけられます。住宅に利用者を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が不在となる場合等については、これらの措置を、国土交通省の登録を受けた者(「住宅宿泊管理業者」といいます)に委託しなければなりません(法11条)

そして、同法が制定される以前は、宿泊サービス提供者と利用者との間の宿泊サービスの提供に関する契約の代理・媒介等を有償で行う場合は、旅行業法上の登録が必要でしたが、同法の成立により、旅行業法上の許可を得なくとも、観光庁長官の登録を受けることで、住宅宿泊事業者と利用者との間の契約の代理・媒介等を行うことが可能となりました(法46条1項)。

住宅宿泊事業法は成立して間もなく、今後、様々な検討課題が現れてくると思われますが、同法が成立した以上は「民泊」をするのであれば、同法のルールに従った対応をすることが求められます。

立川の弁護士竹村淳(オレンジライン法律事務所)
当記事は平成30年3月25日現在の法律に基づき執筆しています。

Last Updated on 2023年11月23日 by takemura_jun