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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

大学教員任期法に基づく無期転換申込権10年特例について

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

大学教員任期法に基づく無期転換申込権10年特例について

労働契約法18条1項によれば、有期労働契約の通算契約期間が5年を超えた場合、無期労働契約に転換することを申し込むことができるようになります。

しかし、大学教員任期法7条1項によれば、「同法5条1項の規定による任期付き労働契約を締結した教員等」については、労働契約法の特例として、この通算契約期間は10年となります。

ここで問題となるのは、「同法5条1項の規定による任期付き労働契約を締結した教員等」とは何かという点です。

同法5条1項は、任期付き労働契約を締結することができるのは、同法4条1項の各号のいずれかに該当する場合、すなわち、①先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性に鑑み、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき(1号)、②助教の職に就けるとき(2号)、③大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき(3号)に該当する場合に該当する場合と定めています。

この点、ある大学の介護福祉士を養成する課程の専任講師について、同法4条1項1号につき「当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究の職であることが必要である」と解釈したうえで、この専任講師は研究という側面が乏しく、また、任期制にすることによって、人の入れ替えを図ること(流動性を取り入れること)が合理的といえるほどの事情はなく、多様な人材の確保が特に必要ともいえず、同号には該当しないとした裁判例があります(大阪高裁令和令和5年1月18日判決(学校法人羽衣学園(羽衣国際大学)事件)。

しかし、この裁判例は上告され、2024年10月3日に最高裁で弁論が開かれることになっており、見直される可能性があります。

この記事は2024年8月20日に執筆しました。

Last Updated on 2024年8月20日 by takemura_jun