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法律コラム 弁護士竹村淳が様々な観点から不定期で掲載する法律コラムです。

風説の流布と課徴金

風説の流布と課徴金

有価証券の取引のため、もしくは、相場の変動を図る目的をもって、うわさや合理的な根拠のない風評を不特定または多数の者に伝えることは、「風説の流布」として、金融商品取引法158条により禁止されています。

これに違反して、風説を流布し、その風説の流布によって、有価証券の価格に影響を与えた場合、課徴金の納付を命じられることになります(同法173条)。

課徴金の金額は、

違反行為の開始時から終了時までの間において、当該違反者が対象となる有価証券等について自己の計算で行った有価証券の売付け等の数量が、買付け等の数量を超える場合は、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該超える数量に違反行為後1月間の最安値で評価した価額との差額

違反行為の開始時から終了時までの間において、当該違反者が対象となる有価証券等について自己の計算で行った有価証券の買付け等の数量が、売付け等の数量を超える場合は、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額から、当該超える数量に違反行為後1月間の最高値で評価した価額との差額

となります。

なお、違反者が、違反行為の開始時に当該違反行為に係る有価証券を所有している場合には、当該違反者が、違反行為の開始時に違反行為の開始前の価格で有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされます。

これによると、例えば、500円で買ったA社の株式を1000株持っている状態で、風説の流布を行い(ただし、風説の流布を行っているときに取引はしていない)、その結果、株価が1500円まで上昇し、当該風説の流布を行った者は、株価が1000円のときに全株(1000株)を売り抜けたという場合、課徴金の金額は、

1500円×1000株-500円×1000株=1,000,000円

となります。

風説の流布で得た利益が500,000円ですから、課徴金によって、結局、500,000円損をしたということになります。

この記事は2024年7月27日に執筆しました。

Last Updated on 2024年7月27日 by takemura_jun