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宗教団体等による献金勧誘行為の違法性の判断方法(最高裁・令和6年7月11日判決)

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立川弁護士 竹村淳

弁護士 竹村 淳 

オレンジライン法律事務所の代表弁護士。
東京都立川市を中心とした地域で活動している弁護士です。
労使紛争、債権回収、賃貸借契約、契約書作成などの企業の法律問題のほか、相続問題や交通事故など個人の法律問題も幅広く法的サポートを提供しており、クライアントのニーズに応じた柔軟なアドバイスを行っています。弁護士としての豊富な経験を活かし、複雑な案件にも迅速かつ的確に対応。ブログでは、日々の法的トピックや事例紹介を通じて、わかりやすく実務的な法律情報を提供しています。

宗教団体等による献金勧誘行為の違法性の判断方法

最高裁は、宗教団体等による献金勧誘行為の違法性の判断方法につき、次のとおり、判断しました(最高裁・令和6年7月11日判決)。

宗教団体またはその信者が当該宗教団体に献金をするように他者を勧誘することは、宗教活動の一環として許容され、直ちに違法と評価されない。

しかし、勧誘の態様や献金の金額等の事情によっては、寄附者の自由に意思決定が阻害された状態でされる可能性があるとともに、寄附者に不当な不利益を与える可能性がある。

そうすると、宗教教団体等は、献金の勧誘にあたっては、献金をしないことによる害悪を告知して寄附者の不安をあおるような行為をしてはならないことはもちろんであるが、それに限らず、寄附者の自由な意思を抑圧し、寄附者が献金をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすることや、献金により寄附者またはその配偶者その他の親族の生活の維持を困難にすることがないようにすることについても、十分に配慮することが求められる。

以上からすると、献金勧誘行為については、これにより寄附者が献金をするか否かについて適切な判断をすることに支障が生ずるなどした事情の有無やその程度、献金により寄附者またはその配偶者等の生活の維持に支障が生ずるなどした事情の有無やその程度、その他献金の勧誘に関連する諸事情を総合的に考慮した結果、勧誘の在り方として社会通念上相当な範囲を逸脱すると認められる場合には、不法行為法上、違法と評価される。

そして、上記の判断に当たっては、勧誘に用いられた言辞や勧誘の態様のみならず、寄附者の属性、家庭環境、入信の経緯及びその後の宗教団体との関わり方、献金の経緯、目的、額及び原資、寄附者又はその配偶者等の資産や生活の状況等について、多角的な観点から検討することが求められる。

この最高裁判決は、献金勧誘行為が違法となるかどうかを判断するための判断方法を明確化したものといえます。

この記事は、2024年7月14日に執筆しました。

Last Updated on 2024年7月14日 by takemura_jun