支払督促とは、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求につき、簡易裁判所の裁判所書記官への申立てにより、実質的審理を行わずに、債権者に債務名義(簡単に言えば、強制執行をできる権利)を取得させる手続きのことをいいます。
支払督促のポイントは、実質的審理を行わないというところにあります。ですので、支払督促の申立てにあたっては、証拠を提出する必要はありません。
そして、支払督促は、印紙代が通常訴訟の半分で済み、出廷は不要です。
以上の点からすれば、支払督促はいい事ばかりのように思われますが、デメリットもあります。
債務者から支払督促に対する異議が出された場合(督促異議といいます)、通常訴訟に移行することになり、そうすると、証拠の提出、印紙代の追納、出廷が必要となるほか、一般的には、通常訴訟の第1回期日が、当初から通常訴訟を提起した場合に想定される日よりも遅い時期に指定されてしまい、簡易迅速に債務名義を得るという当初の目的と反する事態が生じかねないのです。
以上のデメリットからすれば、債務者側が争ってくることが予想される案件については、支払督促ではなく、当初から通常訴訟を提起するべきということになります。
Last Updated on 2016年6月23日 by takemura_jun